“土地だけで買えないかな?”
そう感じたら要チェック!
結論、条件外しは狙えますが条件次第で難易度も変わってきます。
ですので、相手の利益構造と在庫状況を読みながら、通りやすい案件に絞るのが近道。
この記事では、営業担当者主導+仲介活用の手順と、上乗せ上限の決め方もアドバイスしているので、これから建築条件付き土地で家を建てようと検討している方は、ぜひ参考にしてみて下さい。

成功率の目安は10〜20%!条件を外すためには事前に確認ポイントがいくつかあるので、早速見ていきましょう。
条件外しの現実性を見極める3つの判断軸
まずは、建築条件付き土地の「条件を外せる見込み」を素早く見立てる土台づくりが大切です。
ここでは、可否と難易度を左右する要点を整理します。
- 成功率は10〜20%という前提でリスクと可能性を判断
- なぜ外しが難しいのか(利益構造を理解しておく)
- 在庫・販売状況(残り区画/長期在庫/価格改定前)のサインを見極める
一般的に、条件外しの成功率は10〜20%と言われています。
そのため、まずは相手の利益構造と在庫・販売の状況で難易度を仮判定し、交渉が通りにくい条件付き土地で粘るより、他の土地探しへ素早くシフトするのが得策です。
それでは、判断の具体的な見方を順に確認していきましょう。
成功率は10〜20%という前提でリスクと可能性を判断しよう
「立地は最高。でも建築会社は自分で選びたい」となった場合、条件付き土地を土地だけで購入できるかどうか最も気になるところですよね。
条件外しの成功率は、冒頭でお伝えした通り10〜20%ほど。
ということを踏まえて考えると、まずは許容できる「時間・費用・譲歩内容」を事前に決めておき、交渉しても見込みが薄そうであれば『早めに撤退』が鉄則です。
一方で「この土地しかない」と感じるなら、相手の利益構造(大手ほど裁量が小さく難度高)と在庫サイン(残り区画・長期掲載など)、さらに代替の提示案(仕様譲歩や上乗せ枠)をそろえて臨むのが近道。
撤退ラインも明文化しておくと、交渉の揺さぶりにブレません。例:上乗せ上限300万円/打診は2回/期限は月末まで。
もう1点大切なのは、窓口は営業担当者主導に一本化すること。個人交渉は、条件が具体化してからの最終調整だけに留めるのが安心です。
なぜ外しが難しいのか(利益構造はしっかり理解しておこう)
建築条件付き土地の条件外しが難しい理由は、利益を建物側で回収する前提で販売しているからなんです。
土地価格は“割安に見せ”、指定会社の請負で利益と諸経費にて利益幅を取るようにしているので、ここで条件を外してしまうと売主や建築会社からすると条件外し=利益の受け皿が消えるとなってしまいます。
さらに大手ほど利益率・ブランド規律が高く、交渉余地が小さい傾向。対してローコスト系や地域工務店は、在庫圧力や紹介関係が効けば土地だけでの購入の可能性が見えてくることがあります。
そこで交渉の武器となるのがこの2つ。
- 利益の代替(仕様譲歩 or 上乗せの枠決め)、
- 在庫リスクの解消提案(残存区画の処分など)
相手に土地だけで売っても損益が合うかもという気持ちにさせること。これで初めて交渉の土俵に立つことができます。
次は、どんな案件が“通りやすい”のかを在庫・販売状況のサインで読み解きましょう。
在庫・販売状況(残り区画/長期在庫/価格改定前)のサインを見極めよう
結論、サインが複数重なるほど外し交渉は通りやすくなります。代表的な判断基準は次のとおり。
- 「残り1区画」「最終1邸」表示が長く続く
- 掲載が長期化(3か月超)/再掲や写真差し替えが頻発
- 価格改定やキャンペーン告知、建物仕様の譲歩示唆
- 販売図面の更新日が直近/面積微調整・再分筆の動き
- 現地看板や広告に「建築条件 相談可/見直し可」の小さな注記
- 建築確認が未申請・着工時期未定/造成済みなのに長期在庫
これらが揃えば、売主側の在庫リスクが高くなっている可能性があるので、条件見直し(外しや上乗せの交渉)が現実的になりやすいです。
逆に新規公開直後や反響が強い物件は、土地だけの購入の難易度は高いと言えます。
通すためのステップ5つ!誰に・何経由で・いつ・何を・いくらまで
条件外しの交渉はある程度テンプレート化されているため『型』どおりに進めるのがおすすめです。迷わず進めるためのアクションはこの5つ。
- 交渉は営業担当者主導、個人交渉は避ける
- 仲介活用+在庫リスク案件の狙い方
- 資金証明・仮審査・他社見積の提示ルールと順序
- タイミングの取り方(決算前などの使い方)
- 仕様譲歩 vs 金額上乗せする場合の上限の決め方
誰に・何経由で・いつ・何を・いくらまでを先に固定すると交渉は一気に進みます。
それでは具体的な内容について、1つづつ見ていきましょう。
ステップ1.交渉は営業担当者主導、個人交渉は避ける
「自分で直接交渉した方が早い…」そう思いがちですよね。
実は、窓口は“建築予定先の営業担当者”に一本化するのが最短です。
その理由は、業界は前例を作らない運用が基本のため、個人の直談判は“規格外案件”として門前払いになりやすいからです。プロ同士なら社内稟議の作法・言い回し・落としどころが共有され、指定会社や売主の損益調整まで話が届きます。
準備はシンプルに固めましょう。
- 資金証明/仮審査結果
- 予算と上限
- 優先度付き要件
- スケジュール
- 他社見積(提示ルールは営業に従う)
- 譲歩できる仕様
- 上乗せの上限。
窓口を一本化し、合意はメールで議事録化。個人で前に出るのは、条件が出揃った最終確認だけに留めると安全です。
ステップ2.仲介活用+在庫リスク案件の狙い方
仲介は売主や指定建築会社の事情に通じており、在庫圧力の高い物件を素早く拾いやすい立場です。
まずはブリーフを明確に渡しましょう(「土地だけ希望の理由」「上乗せ上限」「譲歩可否」「決定期限」)。
次に、残り1区画・掲載3か月超・価格改定直後・造成済み未着工といった在庫サインに合う案件へ紹介依頼を集中。売主側には在庫解消・審査済で確度高い・同日契約は避けるなどのメリットを整理して提示します。
- 渡す資料:資金証明/仮審査、予算と上限、他社見積サマリ、譲歩リスト
- 連絡線の一本化:やり取りは仲介→あなたの営業担当→売主。合意はメールで記録
仲介の“押しどころ”を先に決めておくほど、話は前に進みやすくなります。
ステップ3.資金証明・仮審査・他社見積の提示ルールと順序
まずは仮審査→資金証明の順で土台づくり。
通過の事実、借入予定額、自己資金、金利タイプを一枚にまとめ、営業担当者経由で提示します。これで本気度と支払い余力が伝わります。
他社見積は最初からフル開示しないのがコツ。
延床・構造・断熱等級・主要設備など前提をそろえた要点サマリーを先に共有し、総額だけの比較は避けます。社名や単価は必要に応じてマスキング。NDAの提案も有効です。
提示の順序は、①一次打診=資金証明のみ → ②可否の感触が出たら要点抜粋の他社見積 → ③最終局面で比較表と上限ラインの根拠を提示。
すべてメールで証跡化し、やり取りは営業担当者に一本化しておくと話が整います。
ステップ4.タイミングの取り方(決算前などの使い方)
当たりどころだけでなく、当たる時期も通過率を左右します。
狙い目は、下記3つのタイミング。
- 決算直前や販売目標の切り替え前
- 価格改定の直前直後
- 公開から3か月超の長期掲載
社内で意思決定が進みやすく、在庫圧力も高まりやすいからです。
一方、新規公開直後や反響が強い時期は逆風になりやすいですね。無理をせず、仮審査や資金証明だけを先行提示して「買う意思」を温存しておくのが安全です。
土地だけ購入したい人は、条件外しの打診は段階的にするようにしましょう。
初回は条件確認だけ、可否の感触が出てから他社見積の要点抜粋、最終で上限ラインと比較表。ここまで固めておくと、同日契約の流れに巻き込まれにくく、戻れない線も避けやすくなります。
ステップ5.仕様譲歩 vs 金額上乗せする場合の上限の決め方
条件外しの交渉時には、仕様を譲るか、金額を上乗せするか、どちらから攻める場合にも、まずは総予算から逆算して上乗せの天井を決めておきましょう。(目安:100〜500万円または建物利益の2割)
この範囲内で通らない時に備えて、譲ってもよい仕様リストを優先度つきで作成します。
- 内外装のグレード
- 造作
- 外構の範囲
など“デザイン面”から提案していくことでダメージを小さく抑えやすくなります。
一方で、耐震・断熱・耐久などの基本性能はなるべく下げないようにしましょう。
交渉序盤は上限をぼんやり伝えるようにして、交渉の感触が出た段階で小出しに提示していくのがおすすめ。
最後の一押しで「上限ライン+仕様譲歩セット」を提示すると、相手の損益に合わせやすくなります。同時に全部出さないこと。段階戦で主導権を保てます。
上乗せ費用の上限値を決める方法2パターン
値上げの話になると相場感が曖昧で迷いやすいですよね。
ここでは、交渉時の判断基準となる上限金額の考え方を2通りお伝えします。
- 100〜500万円と建物利益の2割目安を比較
- 上乗せの内訳イメージ(建物側の利益相当+諸費用回収)
要点として、固定額パターン(100〜500万円)と割合パターン(建物利益の2割)を使い分けると、上限ラインが決めやすくなります。内訳を言語化しておけば、仕様譲歩とのバランスも取りやすいはず。
それでは順番に見ていきましょう。
100〜500万円と建物利益の2割目安を比較
上乗せ額は「固定額」と「割合」の二刀流で考えると迷いません。建物価格や仕様がまだ固まっていない段階では、まず固定額100〜500万円で天井を引くのが安全。
一方、仕様や本体価格の輪郭が見えてきたら、建物見積の“利益相当分”をおおよそ2割と置く割合パターンに切り替えます。
【計算例】 本体2,200万円 × 0.2 = 440万円(この近辺が上限の目安)。
ここを超える要求が来たら、仕様譲歩にスイッチして総額を守る判断がしやすくなります。資金計画の耐性(返済比率・予備費)も併せて確認しておくと、場当たり的な譲歩を避けられます。
未確定期=固定額、確度が出たら=割合で判断。
段階に応じて上限設計を更新していきましょう。
上乗せの内訳イメージ(建物側の利益相当+諸費用回収)
上乗せは“どこに充てられるのか”を理解しておくと、話がぶれません。
基本は建物で見込んでいた利益相当分に、売主・指定会社が先に支出した固定費や販売費の回収が重なります。造成・広告・測量・分筆・登記、モデルプランの設計や見積作成コストなどが代表例です。
案件によっては在庫期間に伴う保有コストや、条件見直しに伴う社内調整の手間賃も含まれがち。
交渉では「利益相当+固定費の一部」までを枠とし、性能は落とさず仕様で譲る項目をセット提示すると噛み合いやすいです。数値はざっくりのレンジ提示、確度が出たら比較表で根拠を見せる。
相手の損益が合う絵を先に描くほど、土俵に乗りやすくなります。
- 利益:建物見積の利益相当分(目安は“割合パターン”で扱う)
- 固定費:造成・広告・測量・分筆・登記・設計見積対応
- 調整費:在庫期間の保有コスト、社内稟議・再調整の手間
「土地だけ」で買うために避けたい2つの契約順序ミス
“この土地だけは逃したくない”そう思うほど、順序でつまずきやすいものです。
ここでは、取返しが付かない状況を避けるための注意点について具体的にご紹介します。
- 売買契約と請負契約の同日締結を避ける(戻れない線の回避)
- 建築確認の状態と依存関係のチェック(着工条件の確認)
- ありがちなトラブルと即対応フロー(簡潔版)
要点として、契約は段階を分ける・建築確認のステータスを必ず確認するの2つが大きなポイントになります。
ここを押さえるだけで、撤退が難しくなるリスクは大きく下げられますので、是非参考にして下さい。
売買契約と請負契約の同日締結を避ける(戻れない線の回避)
打ち合わせを進めていると、「今日中に売買と請負、まとめましょう」と迫られる場面が出てきます。
同日に進めると、設計着手費や違約金の対象になりやすく、白紙や手付解除の余地も狭まります。
まずは売買のみで土地を確保し、その後に概算→仕様確定→支払い条件・工期確定を経て請負へ。合意はメールで議事録化、契約書の停止条件・解除条項は赤入れ確認が安心です。
同日締結の打診にはサインしない。
建築確認の状態と依存関係のチェック(着工条件の確認)
ここを見落とすと自由度が一気に下がります。まず建築確認のステータスを確認しましょう。
未申請/申請中/確認済のどれかで動き方が変わります。確認済だと図面・仕様が固まっており、変更は再申請や追加費用が前提。
土地だけで買う狙いなら、未申請〜申請中の段階が現実的です。
あわせて依存関係もチェックしておくと安心です。
- 開発許可・造成完了の有無(工期や引渡し条件に直結)
- 分筆・地積更正・上下水引込・ガスの手当(費用負担の境界)
- セットバック・道路種別・地役権(設計の自由度に影響)
- 地盤調査の実施時期と負担区分(仕様とコストに反映)
最後に、着工条件(ローン承認・請負締結・設計承認・確認済証の取得順)を書面で確認しておきましょう。
順序を曖昧にしたまま進めると、同日契約や既成事実化に巻き込まれやすくなります。ひとつずつ条件を分解し、合意はメールで残しておくのがコツです。
ありがちなトラブルと即対応フロー(簡潔版)
起きがちなつまずきは似ています。早めに“型”で受け止めましょう。
- 同日契約の圧|「今日まとめましょう」と署名を急がせる
- 口頭合意の蒸し返し|仕様や金額が「聞いていない」に化ける
- 見積の前提ずらし|面積・グレード変更で総額が膨らむ
- 確認申請・設計着手の先行|後戻りに追加費用が発生
- 手付・着手金の早期請求|撤退時の負担が重くなる
- “他に検討者”での時限圧力|冷静な比較ができない
- その場で承諾しない|「本件は持ち帰ります」で一度止める
- 連絡線を営業担当者に一本化|誰経由の要請も担当へ
- やり取りをメールで議事録化|前提・金額・期限・添付を明記
- 停止条件/解除条項/確認申請の状態など資料提示を要求
- 検討期限を再設定|社内決裁に必要な日数を宣言
- 違和感が強いときは仲介・専門家に即相談し、白紙/手付解除の可否を確認
- 「本日は売買のみにて。請負は仕様確定後にお願いします」
- 「確認申請の状態と停止条件の文言をご提示ください」
- 「内容を整理し議事録を送ります。相違なければご返信ください」
解約・解除・契約解除の線引きを時系列で整理する3ステップ
各ステップは似ているようで、実は状況は大きく変わります。
土地だけの購入を視野に入れている場合には、解約・解除・契約解除によってかかる費用や条件はしっかりチェックしておきましょう。
- 白紙解除/手付解除/違約金の違いと適用タイミング
- 停止条件の確認ポイント(撤退ラインを事前設計)
- 合意の証跡化(メール/覚書/議事録)
要点として、買付→売買→請負→確認申請→着工の順にキャンセル時のコストが重くなるイメージです。
停止条件の文言と証跡化を先に整えておけば、万一の撤退でも負担を抑えやすくなります。
それでは1つずつ、違いとタイミングを押さえていきましょう。
白紙解除/手付解除/違約金の違いと適用タイミング
白紙解除は、停止条件が成就しなかった等の理由で契約を「なかったこと」に戻す考え方です。
受け渡した手付や中間金は原則返還になりますが、実費精算の扱いは契約書で確認しましょう。
手付解除は、相手が履行に着手する前までなら、買主は手付放棄、売主は手付の倍返しで解除できる仕組みです。ここでいう「履行の着手」は、設計着手金の支払い、発注指示、確認申請の提出などが目安になります。
違約金は、合意した義務に反した際に支払うペナルティで、請負契約後や設計・確認申請が動いた局面ではこのゾーンに入りやすいといえます。タイミングの早見としては、買付〜売買直後は白紙や手付の選択肢が残りやすい段階です。
請負締結や確認申請後は違約に移行しやすく、負担が大きくなります。契約ごとに条項は異なりますので、「いつまで・何が可能か」を赤線でマークし、金額や条件をメールでも残しておくと安心です。
停止条件の確認ポイント(撤退ラインを事前設計)
あとで揉めないよう、停止条件は先に書面で固定しておきたいところです。
押さえるのは「何が満たされなければ解除できるか」「いつまでに判定するか」「費用の扱い」の3点。
- 住宅ローン本審査承認の取得
- 建築条件の解除合意または設計・見積の到達点未達
- 確認申請の未了や重要事項の新発見(越境・地盤不良など)
これらが期日まで叶わないときは無条件で解除できる旨を明記しておくと安心です。
【文言例]】
「◯年◯月◯日までに『本審査承認/設計合意/建築条件解除』が成立しない場合、買主は手付金の返還を受けて解除できる」
【チェック】
期日|判定基準|証憑の提出先|返金・実費の範囲。ここまで整えば、撤退ラインがはっきりします。
合意の証跡化(メール/覚書/議事録)
言った言わないを防ぐカギは即時の書面化です。
やり取りは電話後すぐにメールで要約し、重要局面は覚書や議事録に格上げ。最低限、誰が/いつまでに/何を/いくらで/条件は何かを一画面で読める形にまとめます。
添付は見積・図面・工程案の最新版。件名は検索しやすく、日付と案件名を必ず入れると迷子になりません。
件名例
【確認】条件外し交渉の合意事項(◯◯町◯丁目/2025-09-25)
メール雛形(コピペ可)
本日の打合せ内容を確認します。
- 対象:◯◯号地(建築条件 外し打診)
- 提示材料:資金証明・仮審査済、他社見積要点添付
- 条件:上乗せ上限◯◯万円/仕様譲歩A・B
- 次のアクション:◯/◯までに可否回答(ご担当:◯◯様)
誤りがあれば◯/◯までに返信ください。なければ本内容で確定とします。
宛先は担当者+代表窓口、CCに仲介・自社営業。送信後はPDF化し、フォルダと日付で整理しておくと後戻り時に強い証拠になります。
条件付き土地のメリット/デメリットを総額視点で見直す3ポイント
条件付きは“土地が安く見える”一方で、建物側で費用が増えることもあります。
ここでは、総額で損得を判断するために大切となる、
- メリット(価格の見え方/手続きのスムーズさ/一体管理)
- デメリット(設計自由度/見積膨張リスク/事業者依存)
- 向いている人/向かない人の判断基準
上記3つについて見ていきます。
メリットとデメリットを短く要点化し、条件付き土地を検討する場合の“向き不向き”の基準について解説していきます。
メリット(価格の見え方/手続きのスムーズさ/一体管理)
条件付きは初見価格が抑えめに見えやすいため、自己資金やローン審査のハードル感が下がります。販売図面とモデルプランがセットなので、概算把握から資金計画づくりまでが短時間で進みますよ。
さらに、売主・設計・施工の窓口がほぼ一本化。仕様決め→見積→工程の連携が速く、問い合わせ先が分散しにくいのも安心材料です。
もう一点、諸手続きの事務負担が軽いこと。敷地調査や地役権の確認、インフラの手当などを売主側が進めてくれるケースが多く、段取り迷子になりにくいですね。スケジュール確度を高めたい、準備に割く時間を減らしたい方には相性が良い選択肢と言えるでしょう。
デメリット(設計自由度/見積膨張リスク/事業者依存)
指定の工法・設備・仕様が前提になるため、設計の自由度は限定的になりがちです。
間取りの制約や、標準外の要望に追加費用や再申請が伴うことも。初期提示はすっきり見えても、オプション・付帯工事・外構・諸費用が重なると見積が膨らみやすい点も注意ですね。
さらに、窓口が一本化される代わりに事業者依存度が高いため、担当交代や工期調整、アフター対応の裁量によって満足度が左右されます。
比較検討がしづらく、情報の非対称が残りやすいこともデメリットと言えます。
- 仕様はマスト/任意で区分し、任意は原則オプション扱いに
- 見積比較は前提(面積・等級・設備)を統一してから
- 仕様凍結前に**合意書(議事録)**で範囲と金額を固定
- 担当者の変更可否やアフターの窓口を事前に確認
向いている人/向かない人の判断基準
建築条件付き土地を検討する場合、向いているケースとあまり向かないケースの特徴を挙げます。
- スピード重視:短期間で資金計画〜着工まで進めたい
- 標準仕様で十分:大きなカスタムよりコスパ重視
- 窓口は一本化したい:手配や工程管理の負担を減らしたい
- 総額の上限を先に決められる:上乗せと譲歩の線引きを守れる
- 設計の自由度を最優先:素材や性能に細かな指定が多い
- 比較透明性を重視:分離発注や複数社の入札で決めたい
- 独自プラン前提:地形対応や建築家設計を強く望む
要するに、時間と手間の最小化を取りたい人には向いているものの、自由度と比較性を優先した家づくりを目指している人には不向きになりがちです。
そのまま使える実務テンプレを3点セット
読んだあとに「何を送る・何を持っていく・どこを見る」を迷わないよう、すぐ使える形でまとめました。
- 交渉依頼メール(営業担当者宛/仲介宛)
- 持参・提示書類チェック(資金証明・仮審査・他社見積)
- 請負契約の条項チェックひな形
要点は、文面テンプレ+証憑+チェックリストの三点セットで“初動の抜け”をなくすこと。
合意や条件などの擦り合わせはメールで行うようにしましょう。
この流れを型にしておくと、無駄な応酬が減り、通過率も安定します。では順番にどうぞ。
交渉依頼メール(営業担当者宛/仲介宛)
最初の一通で“本気度・上限・譲歩”が伝わると、その後のやり取りが整います。件名は検索しやすく、本文は一画面で核心だけ。下記をそのまま差し替えてお使いください。
[営業担当者宛|指定建築会社・HMの担当へ]
件名:条件外しの打診と合意条件の確認({物件名}/{区画}/{日付})
本文:
{担当者名}様
{あなたの氏名}と申します。{物件名}/{区画}について、建築条件の外し可否についてご相談させて頂きたいです。
提示材料:資金証明・仮審査済(同封)、他社見積の要点抜粋(同封)。
希望:土地のみでの購入。上乗せ上限={金額}万円、譲歩案={譲歩案A/B}。
前提:売買と請負は同日契約を行いません。確認申請の状態をご教示ください。
ご対応:{回答期限}までに可否と必要資料をご連絡いただけますと幸いです。
CC:{仲介名}/{自社担当名}
――
同封:資金証明PDF/見積サマリ/要望書(優先度つき)
[仲介宛|紹介・交渉ルートの起点に]
件名:在庫サインに合う案件の紹介依頼と条件外しの可否確認({エリア}/{日付})
本文:
{仲介担当者名}様
{あなたの氏名}と申します。土地だけ購入を前提に、以下条件に合う案件の紹介と、条件外しの可否確認をお願いします。
狙いの土地案件:残り1区画/掲載3か月超/価格改定直後/造成済み未着工。
提示材料:資金証明・仮審査(同封)。上乗せ上限={金額}万円、譲歩案={譲歩案A/B}。
依頼:売主側の在庫リスク解消メリットを踏まえ、同日契約回避で打診をお願いしたいと思っています。
期限:{回答期限}。可否についてと、もし他に必要資料がございましたらご教示のうえご連絡いただけますと幸いです。
CC:{自社営業名}
- 宛先は担当者+代表窓口を固定/件名に物件名・日付
- 期限を明記/「同日契約回避」を太字で可視化/添付は最新版
持参・提示書類チェック(資金証明・仮審査・他社見積)
手ぶらだと話が進みにくいですよね。
ここは「信用を見せる書類」と「比較の前提をそろえる資料」の二段構えで用意しておきましょう。
開示は段階制、社名や単価は必要に応じてマスキングします。メール送付後はPDF化して保管。
これだけで通過率と後戻り耐性が上がります。
- 仮審査通過の控え/資金証明(発行日・有効期限・借入予定額・自己資金)
- 金利タイプ・返済年数・ボーナス併用の有無
- 金融機関名と担当の連絡先(必要あれば社名のみ)
- 前提を統一:延床面積/構造/断熱等級/主要設備グレード/外構有無
- 金額は本体・付帯・外構・諸費用の区分だけ提示(社名・単価は伏せる)
- NDAの提案可。比較は総額だけで優劣を決めないことを明記
- 資金証明のみ
- 要点サマリー
- 比較表+上限ラインの根拠
[件名例] 【資料送付】条件外し打診/資金証明ほか(◯◯町◯丁目/2025-09-25)
有効期限切れの証明、仕様前提がバラバラな見積、単価のフル開示は控えめに。
請負契約の条項チェックひな形
ここは“戻れない線”に直結します。迷わないよう、書面で埋める前提と赤入れポイントをチェック式で置いておきます。差し替えてそのまま使えますよ。
- 契約書/約款/見積内訳/設計図書(図面・仕様書)/工程表/支払予定表
- 位置づけの優先順位:図面=仕様書>見積内訳>約款(合意要。逆順なら修正依頼)
- 本体価格:__万円 付帯:__万円 外構:__万円 諸費用:__万円
- 工期:着工_/_/_ → 引渡し_/_/_(遅延の定義と延長条件を明記)
- 支払:契約時_%/着工時_%/上棟時_%/竣工時_%(出来高基準に変更可)
- 設計着手金:__万円(返還条件:確認申請提出前は返還/実費精算の上限__円)
- 仕様凍結の時点と、凍結後の変更手続(書面合意/見積提示→承認→発注)
- 増減精算のルール(単価表の提示、数量増減の扱い、見積の有効期限)
- 含まれない工事の明記(外構・地盤改良・カーテン・照明などを列挙)
- 確認申請の状態と責任分界(未申請/申請中/確認済)
- 停止条件(本審査承認・設計合意・条件外し合意が期日まで未了なら解除可)
- 解除・違約(手付解除の期限、違約金の上限、白紙解除の可否)
- 保証・保険(瑕疵保険、建設工事・賠償責任保険の付保有無)
- 検査と引渡し(中間・完了検査、施主検査の手順、手直し期限)
- 下請・再委託(重要工種の事前通知義務、施工体制台帳の開示)
- 紛争解決(管轄、調停/ADRの明記)
- 同日契約の回避(売買と請負は別日で締結する旨を覚書化)
[メール記録テンプレ(承認窓口の固定)]
件名:請負条項の確認依頼({物件名}/{日付})
本文:
- 仕様凍結={日付}、以後の変更は書面承認の上、増減精算方式とします。
- 停止条件={本審査承認}/{設計合意}/{条件外し合意}が{期日}まで未了の場合は解除可。
- 支払は出来高に連動、確認申請提出前の設計着手金は返還または実費精算上限{金額}円。
- 売買と請負は別日締結とします。相違があれば{期日}までにご返信ください。
口頭合意・空欄・“別紙参照”のまま押印しない。数値で埋める→相互確認→PDF保管の順で進めましょう。
まとめ
この記事では、「条件外し」を実現するための判断軸、通しやすい当たり方、上乗せレンジの決め方、順序ミスの回避、解除の線引き、そしてすぐ使えるテンプレを一通り整理しました。
大事なのは“当たりどころ”と“段取り”。ここを押さえるだけで、無駄な消耗がぐっと減ります。
- 成功率は 10〜20% を起点に、利益構造と在庫サインで 案件を選ぶ
- 交渉は 営業担当者主導+仲介活用。提示は 段階制(資金証明→要点→比較表)
- 上限設計は 100〜500万円 または 建物利益2割 を目安に、性能は落とさない
- 「土地だけ」で進めるなら 同日締結を避ける + 建築確認の状態を必ず確認
- 解除は 白紙/手付/違約 の違いと 停止条件 を書面化。合意は メールで証跡化
上記を参考に、判断→行動→契約順序→撤退ラインの順で、型どおりに進めれば迷いません。
これから建築条件付き土地で打ち合わせを進めていく場合は、まずは《テンプレ3点》を活用して営業担当者と仲介へ初回メールを是非送ってみてくださいね。


