「毎日の帰宅後、玄関がカバンや靴で散らかってしまう…。」
そんな経験はありませんか?
そこで注目されているのが「ただいま動線」です。
帰宅から手洗い・着替え・収納までが自然に流れるように設計されているため、衛生面の安心や家事効率アップはもちろん、子どもの片付けや手洗いの習慣づけにも役立ちます。
最近はSNSでも話題にのぼることが増えており、実例を参考にする人も増加中。
この記事では、ただいま動線の効果や設計のコツ、さらに人気の実例をまとめてご紹介します。
ただいま動線が暮らしに与える5つの効果
「ただいま動線」とは、玄関からリビングまでの帰宅ルートを工夫することで、家族が自然に片付けや手洗いをしながら生活空間へ入れるように設計された動線のことです。
近年は共働き家庭や子育て世代を中心に注目され、暮らしの質を高める工夫として人気が広がっています。
導入することで、家事や育児の手間が減るだけでなく、家族の健康や習慣づくり、さらにはコミュニケーションまで変わるのが大きな魅力。
ここでは「ただいま動線」がもたらす代表的な効果を5つ紹介します。
- 家族全員の帰宅後がスムーズになる
- 玄関の片付け・収納が自然にできる
- 手洗い習慣で衛生面が整う
- 子どものしつけや自立心を育てられる
- 家族のコミュニケーションが生まれる
どれも今の暮らしに直結する大切なテーマです。これらを理解しておくと、間取り計画の段階から「自分たちに必要な仕組み」を取り入れやすくなります。
それでは1つずつ詳しく見ていきましょう。
家族全員の帰宅後がスムーズになる
「ただいま動線」を取り入れる一番のメリットは、家族全員の帰宅後の流れがスムーズになること。
玄関からリビングに向かう途中に、収納や手洗いなど必要な設備を配置しておけば、余計な遠回りをすることなく自然に所定の場所へと導かれます。
例えば、学校や仕事から帰宅した子どもや大人が、荷物を玄関近くの収納に置き、そのまま洗面所で手を洗ってリビングに入るという一連の流れ。動線に沿って行動できるため「片付けなさい」と声をかける回数も減り、家族のストレスが軽減されます。
さらに、動きがスムーズになることで滞留が減り、混雑しやすい時間帯でもスムーズにリビングへ到達できます。とくに子育て世代や共働き世帯にとって、毎日の小さな手間が積み重ならないことは大きな安心につながるのです。
玄関の片付け・収納が自然にできる
ただいま動線に欠かせないのが、玄関まわりの収納計画です。
帰宅した瞬間にカバンやコート、ランドセルを置ける場所があれば、自然と片付けが習慣化されます。リビングまで荷物を持ち込む必要がなくなるため、部屋が散らかりにくく、いつでもすっきりとした印象を保ちやすくなります。
特に効果的なのは、玄関横にファミリークローゼットやシューズクロークを設けること。アウトドア用品やベビーカー、季節のアウターなども一箇所で管理できるので、日常の動きが格段に楽になります。
- ランドセル置き場を玄関近くに設けると、子どもが帰宅後すぐに片付けられる
- 玄関にベビーカー収納をつくると、外出・帰宅の出し入れがスムーズになる
- 扉付き収納を選ぶと生活感を隠せて来客時も安心
収納が整っていると、散らかりやすい玄関を「きれいが続く空間」に変えられます。
手洗い習慣で衛生面が整う
玄関からすぐに洗面所や手洗い場へアクセスできるのも、ただいま動線の大きな魅力です。帰宅後に必ず手を洗う流れが自然にできるため、花粉やウイルスを室内に持ち込みにくくなり、家族の健康を守りやすくなります。
特に子どもは「わざわざ洗面所まで行くのが面倒」と感じがちですが、動線上に手洗いを設ければスルーされにくく、習慣づけがしやすくなります。最近は自動水栓やデザイン性の高い手洗いボウルを採用する家庭も増え、インテリアの一部として楽しむケースも多いです。
- 玄関直結の手洗いは配管や排水位置の確認が必須
- 手洗い場の配置がリビングから丸見えになると生活感が出やすいので、目隠しや間仕切りで工夫すると◎
衛生意識の高まりとともに、ただいま動線と手洗い場のセットは「新しいスタンダード」といえるほど人気を集めています。
子どものしつけや自立心を育てられる
ただいま動線は、子どもの習慣づくりにも大きな効果を発揮します。
帰宅後にランドセルを置く、上着をかける、手を洗う。この一連の行動が自然と流れの中に組み込まれることで、声をかけなくても片付けや身支度ができるようになっていきます。
未就学児のうちは「一緒に手を洗おうね」と声をかけてあげるだけで動線に沿った習慣を覚えやすく、小学生になれば自分で片付けられる力が育ちます。さらに中学生以降も、動線が整っていると自然に生活リズムが整い、だらしなさを防ぎやすくなります。
こうした「動線による仕組み化」は、親の負担を減らすだけでなく、子ども自身の自立心を養うきっかけにもなります。
家族のコミュニケーションが生まれる
ただいま動線は、片付けや手洗いの習慣づけだけでなく、家族のコミュニケーションにもつながります。帰宅後の動線がリビングやダイニングを経由するように設計されていれば、自然と「ただいま」「おかえり」の挨拶が交わされやすくなるのです。
特に階段の位置を工夫してリビングを通って2階に上がるようにすると、子どもが自室へ直行して会話がないまま一日が終わる…といった状況を防ぎやすくなります。家族の顔を合わせるタイミングが増えることで、安心感やつながりを実感しやすくなります。
忙しい共働き世帯にとって、限られた時間の中でコミュニケーションを持てる仕組みはとても大切。動線計画を工夫するだけで、家族関係の豊かさまでプラスできるのが「ただいま動線」の魅力です。
ただいま動線を取り入れるための3つの設計ポイント
ただいま動線をうまく間取りに組み込むためには、事前の計画がとても重要です。収納や手洗い場をただ設置するだけではなく、家族の動き方やライフスタイルに合わせて配置を工夫することが欠かせません。ここでは、代表的な3つの設計ポイントを紹介します。
- 玄関直結の収納・手洗いの配置計画
- 2WAY動線・回遊動線で効率的な動きにする
- 土地の形状や方角を活かした配置の工夫
どれも失敗しやすい部分でもあるため、設計段階から意識しておくと安心です。それでは、順番に見ていきましょう。
玄関直結の収納・手洗いの配置計画
ただいま動線を成功させる鍵は、玄関まわりの配置計画にあります。帰宅した瞬間に必要な行動<荷物を置く、手を洗う、上着をかける>をスムーズに行えるようにすることが大切です。
具体的には、玄関横にファミリークローゼットやシューズクロークを配置すると、カバンやコート、ランドセル、スポーツ用品などが自然に収納できます。さらに、その動線上に手洗い場を設ければ、荷物を片付けたあとにすぐ手を洗う流れが習慣化され、衛生面でも安心です。
- 手洗い場は動線の途中にあるとスルーされにくい
- 扉付き収納を設けると来客時の印象も良い
- 収納は「使う人ごとの専用スペース」を作ると散らかりにくい
このように玄関直結で必要な行動をまとめて完結できると、家の中に余計な持ち込みを防ぎつつ、毎日の暮らしが整いやすくなります。
2WAY動線・回遊動線で効率的な動きにする
ただいま動線を考えるとき、1本のルートしかないと混雑や不便さを感じやすくなります。そこで有効なのが「2WAY動線」や「回遊動線」です。複数のルートを設けることで、家族が同時に帰宅してもスムーズに移動でき、生活リズムの違いがあっても快適に暮らせます。
例えば、玄関からファミリークローゼットを経由してリビングへ入るルートと、洗面所を経由して入るルートを作っておけば、片付けと手洗いを同時に分担可能。さらに回遊動線を取り入れると、行き止まりがなく移動がラクになるため、家事の効率も高まります。
共働きや子育て世帯のように家族の動きが重なりやすい家庭ほど、この仕組みが役立ちます。間取りに余裕があるなら、2WAYや回遊性を意識したプランを検討してみると良いでしょう。
土地の形状や方角を活かした配置の工夫
ただいま動線は「玄関からリビングまでのルートを工夫する」ことが基本ですが、実際には土地の形や家の方角によって取り入れ方が変わります。縦長や旗竿地など特殊な形状の土地では、限られたスペースをどう使うかがポイントになりますし、南入りや北入りといった方角の違いによっても、動線の取り方が大きく変わってきます。
例えば、南入りの土地では日当たりを活かすためにリビングを南側に配置し、そこまでの動線を短くする工夫が有効です。一方、北入りの土地では玄関からリビングまでの距離が長くなりがちなので、途中に収納や手洗いを挟んで“寄り道が価値になる動線”を設計すると満足度が高まります。
また、土地の広さによっても「回遊動線がとれるか」「2WAYを確保できるか」が変わるため、設計段階での優先順位づけが大切です。制約があっても工夫次第で動線は快適にできる、という視点を持っておきましょう。
子育て世代が注意すべき3つの失敗例と回避策
「ただいま動線」は便利な仕組みですが、計画段階での工夫が不足すると「思っていたほど使いやすくなかった…」という後悔につながることもあります。特に子育て世代では、家族の人数や生活リズムの変化が大きいため、失敗例を知っておくことが大切です。
ここでは、よくある失敗とその回避策を3つ紹介します。
- 手洗いがスルーされる間取りになってしまう
- 動線が交差して家事が非効率になる
- 成長後に使いづらくなる間取りの落とし穴
どれも計画時に気をつけておけば防げる内容です。先に知っておくことで、間取りの満足度がぐっと上がります。それでは1つずつ見ていきましょう。
手洗いがスルーされる間取りになってしまう
帰宅後すぐに手洗いをするつもりで配置したのに、実際にはスルーされてしまう…。
これはよくある失敗例です。手洗い場が動線から外れていたり、遠回りしないと使えない場所にあると、子どもはもちろん大人もつい素通りしてしまいます。
この問題を防ぐには「通過しないとリビングに入れない場所」に手洗い場を設けることがポイントです。玄関からリビングへ進む途中に必ず立ち寄る位置にあれば、自然と使う流れができます。また、手洗い場を玄関収納やクローゼットの近くに設けると、荷物を片付けてすぐ洗えるため動線がスムーズになります。
さらに最近では、デザイン性の高い手洗いボウルや自動水栓を採用して「使いたくなる雰囲気」を演出する工夫も人気です。習慣化のしやすさは配置だけでなく、雰囲気づくりでも左右されるのです。
動線が交差して家事が非効率になる
ただいま動線を考えるとき、意外と見落とされやすいのが「家事動線との交差」です。例えば、玄関からリビングへ入るルートと、洗濯動線やキッチンへの動線が同じ場所で交差してしまうと、朝や夕方の混み合う時間帯に人の流れが重なり、かえって動きづらさを感じてしまいます。
この失敗を防ぐには、帰宅動線と家事動線をなるべく分けることが重要です。玄関からリビングへ向かうルートと、キッチンや洗濯室へ向かうルートを2WAYに分けておけば、家族が同時に動いてもストレスが少なくなります。また、通路を広めに確保する、収納スペースを分散させるといった工夫も有効です。
- 帰宅動線と家事動線は「並行」か「2WAY」にするのが理想
- 通路幅は余裕を持たせることで交差ストレスを軽減できる
- 家族の生活時間を想定したシミュレーションを設計段階で行うと失敗を防ぎやすい
暮らしやすい動線をつくるには、「誰がいつどのように動くのか」を意識して計画することが欠かせません。
成長後に使いづらくなる間取りの落とし穴
ただいま動線は子育て中にこそ効果を発揮しますが、子どもの成長やライフスタイルの変化に対応できないと「使いづらい動線」になってしまうことがあります。たとえば、ランドセル置き場を子ども用に作ったものの、成長して使わなくなるとデッドスペースになるケースは少なくありません。
この失敗を防ぐには、収納や手洗い場を「将来も活用できる設計」にしておくことが大切です。ランドセル置き場を汎用的な棚やクロークにしておけば、学生時代を過ぎてもバッグや仕事用のカバン置き場として活躍します。さらに、玄関横のファミリークローゼットは年齢を問わず使えるため、長期的に見ても無駄がありません。
間取りは一度決めると簡単には変えられないもの。だからこそ、子どもの成長や将来の暮らし方を見据えた柔軟性を意識することが、後悔しない家づくりにつながります。
Instagramで見つけた人気の「ただいま動線」実例まとめ
「ただいま動線」をよりイメージしやすくするには、実際の暮らしで使われている事例を見るのが一番です。
とくにInstagramには、間取りやインテリアの工夫をシェアする投稿が数多くあり、家づくりの参考になるアイデアが豊富に集まっているので、あなたのマイホームが目指す家づくりに役立つはず!
ということでここでは、人気の投稿に多く見られる実例を4つのパターンに分けて紹介していきます。
- 家族玄関とファミリークローゼットで完結する子どもの帰宅動線
- 収納と手洗いを動線上に組み込んだ「散らからないただいま動線」
- 手洗い・足洗い・着替えまで完結する小学生のただいま動線
- スタディーカウンターとファミクロをつなぐ成長対応のただいま動線
- 洗面・パントリー・冷蔵庫が直結する平屋のただいま動線
暮らしの中で実際に活用されている工夫を知ることで、間取り計画にも取り入れやすくなりますよ。
それでは順番に見ていきましょう。
家族玄関とファミリークローゼットで完結する子どもの帰宅動線
4歳児が自分で「ただいま」からリビングに上がるまでを完結させる工夫が光る実例です。家族玄関を通る動線に収納や手洗いをまとめることで、片付けや衛生習慣が自然と身につき、暮らしやすさを高めています。
主な特徴は次の通りです。
- 家族玄関を必ず通る動線:靴や靴下を脱ぎ、そのままロッカーやクローゼットに直行できる
- ファミリークローゼットの活用:リュックや帽子を自分で収納でき、自立を促す仕組み
- 動線上でお着替え完結:制服から私服へスムーズにチェンジし、脱いだ服も脱衣カゴに回収
- 手洗い場の設置:玄関からリビングに行く前に必ず手を洗う流れができ、衛生的
- 「ママに渡す」動作も習慣化:カバンの中のコップやお箸を渡すことで、片付けと家事分担が自然に身につく
玄関からリビングへ行くまでのわずかな距離で「片付け・着替え・手洗い」がすべて完了するため、子どもにとっても親にとってもストレスが少ない帰宅動線になっています。家族の自立を育てながら、家事の負担を減らす仕組みの好例といえるでしょう。
収納と手洗いを動線上に組み込んだ「散らからないただいま動線」
この実例では「リビングに物を持ち込まない」を徹底する工夫が光ります。玄関から家族用の動線に入ると、カバンや靴、アウターを収納するスペースがあり、さらに洗面所や脱衣所までつながっているのが特徴です。リビングに入るまでにすべて完結できるため、生活感が持ち込まれず、常に整った空間をキープできます。
主な特徴は次の通りです。
- 家族用と来客用を分けた2WAY動線で、暮らしと見栄えを両立
- カバンや靴をすぐに収納できるオープン棚で、玄関の散らかりを防止
- アウターや帽子も動線上のクローゼットにかけられる設計
- 洗面所と脱衣所が直結し、手洗いと着替えが自然な流れで完了
- リビングに入るときには“手ぶら&清潔”の状態が実現
このように、収納と衛生を動線に組み込むことで、毎日の暮らしがスムーズになり、家族も訪れる人も快適に過ごせる間取りとなっています。
手洗い・足洗い・着替えまで完結する小学生のただいま動線
小学3年生の帰宅ルーティンを紹介した実例です。玄関からリビングへ直行するのではなく、ランドセルの片付け、洗面所での手洗い・うがい、浴室での足洗い、さらにファミリークローゼットでの着替えまでが一連の流れで組み込まれているのが特徴です。生活習慣と衛生管理を同時に習慣化できる工夫が詰まっています。
主な特徴は次の通りです。
- 目隠しワゴンにランドセルや帽子を収納し、荷物が散らからない工夫
- キッチンへ直結し、箸や水筒などの洗い物をすぐに片付けられる動線
- 洗面所で手洗い・うがい、浴室で足洗いまで完了できる衛生的な流れ
- 隣接するファミリークローゼットで着替えができ、脱いだ服もその場でランドリーバスケットへ
- 学校用品や明日の準備まで動線上で済ませ、最後におやつや勉強へスムーズに移行
衛生・収納・学習準備が一体となった動線は、小学生の自立を促しながら親の手間を減らす理想的な仕組みです。
スタディーカウンターとファミクロをつなぐ成長対応のただいま動線
この実例では、帰宅後のルーティンを「片付け・衛生・学習準備」まで一体化させる工夫が盛り込まれています。ランドセル置き場や収納棚を自在に調整できる設計にしておくことで、子どもの成長に合わせた使い方が可能。さらにスタディーカウンターとファミリークローゼットをつなぐことで、学習スペースと生活スペースがスムーズにつながっています。
主な特徴は次の通りです。
- 目隠しワゴンでランドセルや帽子を収納し、リビングの散らかりを防止
- キッチン横の動線で洗い物をすぐ片付け、洗面所で手洗いうがい・足洗いまで完結
- ファミリークローゼットで着替えを済ませ、ランドリーバスケットで衣類管理もスムーズ
- スタディーカウンターと収納棚を両側から使える設計で、宿題や明日の準備もラクにできる
- 自在棚の高さを変えて、ランドセルを“ただ置くだけ”で済む仕組みに調整可能
子どもの自立を育むだけでなく、親にとっても片付けが楽になるこの動線。成長後も大人が活用できるよう設計されており、長期的に役立つ「未来対応型のただいま動線」といえます。
洗面・パントリー・冷蔵庫が直結する平屋のただいま動線
この実例は、平屋ならではのコンパクトさを活かした「帰宅後が楽すぎる動線」です。玄関からリビングに入るまでに、手洗い・荷物の片付け・食品の収納までを一気に完結できる仕組みが整っています。生活動線と家事動線が重なり、毎日のちょっとした負担を軽くしてくれる工夫が満載です。
主な特徴は次の通りです。
- 玄関からすぐ洗面室につながり、帰宅後すぐの手洗い習慣が身につく
- 洗面の隣にパントリーを配置し、買い物帰りの荷物をそのまま片付けられる
- パントリー奥に冷蔵庫を置き、わずか数歩で収納完了
- 隣接するワークスペースでカバンや小物もすぐ片付け可能
- 一連の作業を終えたらリビングへ直行でき、動線に無駄がない
「玄関→洗面→パントリー→冷蔵庫→リビング」という一直線の流れは、家事効率を高めるだけでなく、衛生面や片付けの習慣化にもつながります。毎日の暮らしをシンプルに整える、平屋ならではの好例です。
未来を見据えた動線計画で暮らしをアップデートする
「ただいま動線」は、日常のストレスを減らす仕組みであると同時に、将来を見越した家づくりの軸にもなります。いま快適に暮らせることはもちろん、家族の成長やライフステージの変化に応じて柔軟に対応できることが、長く満足できる住まいの条件です。
ここでは、未来を見据えた動線づくりのヒントとして、次の3つの視点から考えてみましょう。
- 「おはよう・おやすみ動線」との連携を考える
- 将来のリフォームやライフステージ変化に対応する
- プロが教えるチェックリストを活用する
日々の生活に寄り添いながらも、10年後・20年後も心地よく暮らせる家を実現するための考え方を整理していきます。
「おはよう・おやすみ動線」との連携を考える
ただいま動線を快適にするには、帰宅時だけでなく「一日の始まりと終わりの動線」とつなげて考えることが大切です。例えば、朝の「おはよう動線」では起床後すぐに洗面・着替え・朝食へとスムーズに進める流れが理想的です。また、夜の「おやすみ動線」では入浴や就寝までの動きが短く整っていると、一日の疲れをスムーズにリセットできます。
この2つの動線とただいま動線をうまく連携させると、毎日の暮らしに無駄がなくなり、家族全員のリズムが整いやすくなります。帰宅から就寝、そして翌朝のスタートまでを一連の流れとして意識することが、未来を見据えた家づくりの大きなポイントです。
将来のリフォームやライフステージ変化に対応する
家族の暮らしは時間とともに変わっていきます。子どもの成長や独立、親世代との同居、さらには老後の生活スタイルまでを見据えておくことで、ただいま動線は長く活躍してくれます。
例えば、小さな子ども向けに設けた収納や着替えスペースも、将来的にはワークスペースや趣味の収納に変えることが可能です。また、バリアフリーに対応できるように、玄関からリビングまでのルートを段差の少ない設計にしておくと、高齢になっても安心です。
最初から「リフォームで変えられる部分」と「変えにくい部分」を意識して計画しておくと、必要に応じて暮らしをアップデートできます。ライフステージの変化に柔軟に対応できる設計が、後悔しない家づくりの鍵です。
プロが教えるチェックリストを活用する
未来を見据えた動線計画を考えるうえで、自分たちだけで判断すると見落としが出やすいものです。そこで役立つのが、住宅会社や設計士が用意している「動線チェックリスト」です。専門家の視点が入ることで、日常生活では気づきにくいポイントを事前に押さえられます。
チェックリストには「必ず通る動線上に手洗い場があるか」「収納量が将来の家族構成に対応できるか」「動線が交差していないか」など、暮らしやすさに直結する項目が盛り込まれています。これを参考にしながら、自分たちの生活パターンに当てはめて検討すると安心です。
プロの視点を取り入れた計画は、長期的に見ても満足度の高い家づくりにつながります。
後悔しないための「ただいま動線」チェックリスト
せっかく「ただいま動線」を取り入れても、配置や工夫が足りないと「思っていたのと違った…」となりがちです。そこで役立つのが、間取り計画時に確認しておきたいチェックリストです。ここでは、設計段階で見落としやすいポイントを整理しました。
- 手洗い場は必ずリビング前の動線上にあるか
- 収納は家族全員分の動線に沿って配置されているか
- 回遊性や2WAYの工夫が混雑を防げるようになっているか
- 子どもの成長や将来の生活スタイルに対応できるか
- 来客用と家族用の動線を分ける必要があるか
これらを事前に確認しておくことで、後悔のない動線計画につながります。
手洗い場の位置と導線を確認する
帰宅後に手洗いが自然にできるかどうかは、衛生面だけでなく生活習慣づくりにも直結します。
玄関からリビングに入るまでの動線上に手洗い場を設けると、スムーズに活用されやすくなります。
- 玄関直結タイプ:靴を脱いだらすぐ手洗いが可能。感染症対策にも◎。
- 回遊動線タイプ:玄関から洗面所を経由してリビングへ。自然と手洗い・うがいの習慣が身につきやすい。
手洗い場がリビングから外れた位置にあると「面倒だから使わない」ケースが多発します。必ず帰宅ルートに組み込みましょう。
収納は家族全員分の動線に沿って配置されているか
ただいま動線の真価は「荷物をリビングに持ち込まない」ことにあります。玄関近くの収納計画は、家族全員分を想定して初めて機能します。
- ファミリークローゼット:ランドセル、コート、かばん、スポーツバッグをまとめて収納可能。
- シューズクローク:靴以外にもベビーカーやアウトドア用品を置ける設計が便利。
子どもが小学生から中学生へ成長すると荷物量は一気に増加。最初から「余裕のあるサイズ」で設計することが失敗回避につながります。
回遊性や2WAYの工夫が混雑を防げるようになっているか
帰宅動線と家事動線が交差すると、日常の小さなストレスが積み重なります。特に「洗濯」「料理」「片付け」といった家事のルートとぶつからないかは要チェックです。
- NG例:玄関から洗面所へ行くルートが、キッチンとランドリーを行き来する家事動線と交差する。
- OK例:帰宅動線をリビング側に集約し、家事動線は水回りゾーンで完結させる。
「家族が帰宅するタイミング」と「家事をするタイミング」は重なりがち。シミュレーションして設計しましょう。
将来の変化に対応できるか確認する
子どもの成長やライフスタイルの変化によって、「ただいま動線」の使われ方は変わります。最初から柔軟性を持たせることが大切です。
- 幼児期:手洗いや片付け習慣を覚えやすいルート設計。
- 小中学生:ランドセルや部活動の荷物が急増。収納を強化。
- 将来:子どもが独立した後は夫婦用のシンプルな動線へ。
収納や手洗い場を「可変的に使える」ようにしておくと、長期的に無駄がなくなります。
来客用と家族用の動線を分ける必要があるか
玄関は「家の顔」とも言われる場所。来客が多い家庭では、家族の生活感がそのまま目に入ると気になることもあります。そんな時に有効なのが、来客用と家族用を分けた「2WAY玄関」の考え方です。
- 来客用玄関:常にすっきりと見せられ、急な訪問にも慌てず対応できる。
- 家族用玄関:土間収納やファミリークローゼットにつなげることで、荷物や靴をすぐ片付けられ、日常の動きがスムーズ。
ただし敷地面積やコストの関係で、必ずしも分ける必要があるとは限りません。来客の頻度が少ない場合は、大容量収納を備えた1WAY玄関でも十分。家族の暮らし方や優先順位を見極めることが、失敗を防ぐポイントです。
まとめ
ここまで「ただいま動線」の効果や設計ポイント、失敗例の回避策、そして実際の人気実例まで紹介してきました。改めて大切なポイントを整理しておきましょう。
- ただいま動線は、衛生・収納・効率・コミュニケーションを同時に整えられる
- 設計時には「必ず通る動線上」に手洗いや収納を配置するのが成功の鍵
- 子育て世代は「成長後も使いやすい柔軟性」を意識することで後悔を防げる
- Instagramの実例にあるように、家族玄関・ファミクロ・2WAY動線などを組み合わせると実用性が高まる
- 最後にチェックリストで設計段階の抜け漏れを防ぐことが重要
「帰ってきてからの一連の流れがスムーズかどうか」で、毎日の快適さは大きく変わります。これから家づくりを考える方は、ぜひ“我が家に合ったただいま動線”を取り入れてみてください。


